野村紘一さんはベルテ原宿という億ションを生み出した、いわゆる高級マンションの先駆者です。1億円のマンションは、発売当時の1975年からすると特別で、当時の平均的なマンションが1,500万円だったことを考えると超高額です。
しかも、戸建ての方が圧倒的に人気で、マンションはいくら高級でもアパートの延長線上のイメージが強かった時代です。そんな中で発売したベルテ原宿は見事に売れ、あっという間に世の富裕層の視線を釘づけにしました。高くても売れた理由としては、野村紘一さんが徹底的に妥協なく付加価値をつけた点にあると考えられます。見た目のデザインも内装の質感もまさに高級で、購入して良かったと思わせる魅力を持つのがポイントです。当たり前といえばそうですが、しかしその当たり前を追求したり、富裕層が欲しがる商品を開発したのが野村紘一さんの成功の理由でしょう。億ションはその後も市場が拡大を続け、今では不動産市場の1つとしてすっかり定着しました。
野村紘一さんは他社の見学を拒まず、全て包み隠さず見せるという大胆な行動に出ました。当然ながら他社に真似されましたが、それでも同じマンションは二度と造らないことから見せても問題ないと考え、来る者拒まずの精神で情報を公開したわけです。野村紘一さんが率いる株式会社アルテカは、東京の青山に縁があって、今も長く本社を置いて経営を続けています。主力商品も青山のエリアに集中していますから、それだけこの土地に魅力を感じていることが分かります。他のエリアにマンションを建てるとしても、何処でも良いというわけではなく、兎に角厳選した上で場所が決められます。やはり、億ションというブランド商品を展開しているので、土地選びには細心の注意を払っていると思われます。基本的な経営方針は今も変わりませんし、45年以上ものあいだ無借金経営を続けていることからも頷けます。
約45年の間で変化があったとすれば、それは生活総合産業の視点を獲得して、トータルで魅力や価値のある不動産を手掛け、そして開発や販売を行っていることです。
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